ビジネス WinDbg入門 Windowsカーネル分析ノート


コーディングを急がないこと

 前回に引き続き、次のPDF論文の一部を紹介します。

C++の学び方


 プログラミング作業を分析・設計工程(上流)とプログラミング・テスト・デバッグ工程(下流)の2つに分離し、下流を上流の下僕のようにみなすことはよくありません。わが国ではこのような作業形態をとり、開発者は下流から上流に向かって、キャリアを積み上げるといわれます。下流下僕論は確かによくありませんが、Bjarne Stroustrup氏は、下流中心論も好ましいことではないと主張します。

 本日は、9ページの「The extreme opposite to ...」で始まる段落の内容を検討します。この段落のポイントは、次のように整理できるでしょう。

・分析・設計工程優先論はよくない
・コーディング優先論はよくない
・ベンダー製サンプルコードの再利用には問題がある
・C++初学者がベンダー製サンプルコードを理解するのは難しい
・C++学習には適切な助言と教材が必要である

 さて皆さん、この段落要約リストを一見し、どのようなことをお感じになりますか。おそらく、わが国のソフトウェア開発現場の現状を指摘しているだけではなく、世界の開発現状を示しているのではないかと思います。わが国では特に、分析・設計工程優先論、プロジェクト管理論が幅を利かせ、プログラマの地位が不当に下がっているといわれます。「プログラマ=派遣労働者」というわけです。しかし、プログラミング作業は本来このように"楽しい物作り"のはずですから、わが国の現状はかなり問題を含んでいます。プログラミングそのものの価値が下がった場合、それは、ソフトウェア業界の価値が下がることです。それは、物を作らない業界であり、最後は、物を作れない業界になることを意味します。

 Microsoftをはじめとする多くの有力ベンダーは、膨大な量のサンプルコードを一般公開しています。Stroustrup氏は、そのようなサンプルコードを活用すれば、ある程度のアプリケーションは作れてしまう、と考えています。しかし、活用したサンプルコードの理解はたいへん難しい、と述べています。筆者はこの説に同意します。こうしたこともあり、筆者はC++設計思想連載記事を公開し始めました。各連載記事を毎日3分から5分精読していただければ、「サンプルコードをよく理解したうえで目的のアプリケーション製品を作る」、という姿勢を打ち出せるようになるはずです。納期が迫っている場合には、カットアンドペーストで逃げ切るのもよいでしょう。しかし、自分のスキルを高める努力は日々すべきであると考えます。本「IT談話館」はスキルを高めるためにかなり有効な情報を提供しています。
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本日は2008-11-22です。